GA4(Googleアナリティクス4)とは
GA4(Googleアナリティクス4)とは、Googleが提供するアクセス解析ツールです。Googleアナリティクス自体はGA4の登場以前から、従来型のユニバーサルアナリティクス(UA)が利用されていましたが、2020年10月にGA4がGoogleアナリティクスの最新バージョンとしてローンチされました。
ユニバーサルアナリティクスと比べると、大幅なバージョンアップによって機能が進化したものの、まだ情報が少なく運用が難しいため、GA4へ移行していない事業者も多くいます。
Googleアナリティクスは2023年7月にGA4へ完全移行
Googleは、2023年7月以降、ユニバーサルアナリティクスのプロパティサポートを終了することを発表しています。ユニバーサルアナリティクスの過去データは、一定期間取得できるものの、並行して計測できる2022年のうちにGA4を導入しておくのがおすすめです。
GA4の導入率は?
株式会社GO TO MARKETは、国内のマーケティング従事者を対象として、GA4の導入状況に関するアンケートを実施しました。調査結果によると、GA4をすでに導入していると回答したのは33%です。
回答者の55%は、現在GA4未導入かつ導入検討をしている状況であり、31%はGA4導入を検討しているものの、現在は情報収集段階であることがわかりました。一方、導入を検討していない回答者は9%と少数派であるという結果となっています。
今GA4の導入予定がなくてもデータ取得できるように設定しておこう
2023年7月からは、ユニバーサルアナリティクスでWebサイトの新しいデータの取得ができなくなります。現在、GA4の導入予定がなかったとしても、データを取得できるよう設定しておきましょう。
Googleアナリティクスでは設定以前のデータは取得できないため、昨年対比で過去のデータを閲覧する可能性を考えると、ユニバーサルアナリティクスの使用は続けたとしても、できるだけ早い段階で設定を済ませておくのがおすすめです。
GA4とUA(ユニバーサルアナリティクス)の違い
GA4には、従来のUA(ユニバーサルアナリティクス)から進化した機能が大きく分けて3つあります。具体的には、データの計測方式・計測できるデータ・レポート画面です。
以下では、それぞれのポイントについて解説します。
データの計測方式
まず、データを計測するためにタグを埋め込む必要がある点については、ユニバーサルアナリティクスと同様です。ただし、ユニバーサルアナリティクスとは異なるタグが発行されるため、GA4での計測を開始するには新たなタグを埋め込む必要があります。
また、計測方式における大きな違いは、セッションベースとイベントベースです。ユニバーサルアナリティクスは、Webサイトを訪れてから離脱するまでのセッションをベースとしているのに対し、GA4はイベントをベースとしてデータを計測しています。
イベントとは、初回訪問やページビュー、クリックなどの指標です。ユニバーサルアナリティクスにおいては、設定をしなければ取得できない指標もデフォルトでイベントに設定されており、より利便性が高まったといえるでしょう。
取得できるデータ
前述のとおり、GA4ではユニバーサルアナリティクスに比べて、取得できるデータの幅が広がっています。とくにページ全体のうち90%までのスクロール到達、埋め込み動画の再生、ファイルのダウンロードなどが追加されたため、エンゲージメントを測りやすくなったといえます。
一方、直帰率をはじめ、いくつかの項目が指標から削除されている点には注意が必要です。取得できるデータの変更にともない、運用や分析の体制にも変化が生じるでしょう。
レポート画面
GA4では、レポート画面が2つに分かれています。それぞれのレポート画面は、集計用と分析用として分けられています。
前者はユニバーサルアナリティクスのレポートと同様の形式です。全体のデータを俯瞰的にチェックする際に活用するのに適しています。
一方、後者は目的に応じてセグメントしたデータを閲覧できます。ユニバーサルアナリティクスにおけるカスタムレポートのように活用できる機能です。
GA4を導入するメリット
GA4は、ユニバーサルアナリティクスに比べて、より細かな計測や分析に適しています。本格的に分析をしている事業者にとっては、大きなメリットといえるでしょう。
以下では、GA4を導入するメリットについて解説します。
データの計測が簡単になる
前述のとおり、ユニバーサルアナリティクスでは計測できなかった指標が、GA4ではデフォルトでイベントに追加されています。それぞれの指標の計測可否についても、拡張計測機能の設定画面でオンオフを切り替えるだけで任意に設定できます。
とくにエンゲージメント関連の指標は、ユニバーサルアナリティクスではコードやツールを埋め込まなければ計測できませんでしたが、GA4は基本のタグのみで計測できる仕様です。
データをBigQueryへエクスポートできる
Big Queryとは、Google Cloud Platformで提供されるデータベースです。ペタバイト規模のデータをリアルタイムで処理できるスペックをもっており、ビッグデータを分析するには欠かせない存在です。
以前は有料版の「Googleアナリティクス360」を契約しなければ、BigQueryへのエクスポートはできませんでしたが、GA4では無償でエクスポート機能を利用できます。SQLを利用して独自に解析できるため、本格的な分析においてはおおいに役立つでしょう。
Googleサーチコンソールと連携できる
GA4では、ユニバーサルアナリティクスと同様、Googleサーチコンソールとの連携が可能です。オーガニック検索クエリ・オーガニック検索トラフィックのレポートが閲覧できるようになり、検索パフォーマンスも含めた分析ができます。
Googleサーチコンソールもマーケティングにおいては必須ツールであるうえ、無料利用できるため、GA4とあわせて導入しておきましょう。
GA4を導入するデメリット
GA4はユニバーサルアナリティクスの後継として誕生したものの、いまだ不完全な面もあり、メリットばかりのプラットフォームではありません。
以下では、GA4を導入するデメリットについて解説します。
一部の機能は実装されていない
GA4はベータ版としてサービスを開始し、現在では製品版としてリリースされているものの、すべての機能が実装されているわけではありません。ユニバーサルアナリティクスやそれ以前のバージョンにおいても、随時アップデートによって機能が追加されてきました。
今後、2023年7月の本格移行に向けて、さまざまな機能が追加されていくとみられています。
解説書や記事などのコンテンツがあまりない
2022年7月現在、GA4はリリースから2年近くが経過しているにもかかわらず、解説書や記事などのコンテンツはあまりありません。手探りで運用するしかなく、Webに詳しい担当者がいない状況では、活用するのが難しい状況となっています。
また、Googleが公式に発表している情報はありますが、わかりにくい点が多いのも事実です。HAPPY ANALYTICSの代表を務める小川卓氏が公開している「GA4ガイド」は、初心者でもわかりやすくまとめられているため、体系的に理解したい方におすすめです。
UAからデータを移行できない
ユニバーサルアナリティクスで取得したデータは、GA4に移行できません。さらにGoogleアナリティクスは、タグを埋め込んだあとのデータしか取得できないため、ひとまず設定だけでも済ませておく必要があります。
ユニバーサルアナリティクスとGA4は同時並行で運用できるため、GA4の本格運用は先になるとしても、導入しておくとよいでしょう。
UAからGA4への移行方法
続いて、ユニバーサルアナリティクスを運用している場合に、GA4に移行する方法について紹介します。
1.プロパティタイプの確認
まずは、プロパティタイプを確認します。Googleアナリティクスにログインして、左上のプロパティ選択画面からプロパティIDを確認すると、UAから始まる番号・数字から始まる番号が記載されているはずです。
UAから始まる番号はユニバーサルアナリティクスのプロパティ、数字から始まる番号はGA4のプロパティです。
2.GA4設定アシスタントの設定
GA4のプロパティを設定する際には、以下の2つの方法があります。
- 既存のプロパティをGA4のプロパティにアップグレード
- GA4のプロパティを新規作成
前者の場合、ユニバーサルアナリティクスにログインして左側のメニューから「管理」→「プロパティ」→「GA4設定アシスタント」と進みます。こちらの方法では、ユニバーサルアナリティクスのプロパティ情報をもとに、GA4のプロパティを設定可能です。
後者の場合、「管理画面」の「プロパティ」→「プロパティを作成」と進みます。基本情報とビジネス情報を入力して、データストリームの設定をすれば完了です。
3.タグを設置する
GA4を利用してデータを測定するには、サイト上にタグを設置する必要があります。既存のユニバーサルアナリティクスをもとに設定する場合であっても、GA4のタグ設置は必須です。
タグを設置する方法としては、以下の2種類があります。
- グローバルサイトタグ(gtag.js)を使用する
- Googleタグマネージャー(GTM)を使用する
グローバルサイトタグ(gtag.js)を使用する場合
グローバルサイトタグを使用する場合は、Googleアナリティクス上の「プロパティ」→「データストリーム」と進んで、グローバルサイトタグを表示させます。表示されたタグをサイトのHTMLファイルのhead部分に記載すると、データを取得できるようになります。
Googleタグマネージャー(GTM)を使用する場合
Googleタグマネージャー(GTM)を使用する場合は、Googleアナリティクス上の「GA4設定アシスタント」→「接続済みのプロパティ」と進んで、測定IDを表示させます。
Googleタグマネージャーのコンテナに移動して、測定IDの入力、トリガーの設定をすれば完了です。なお、トリガーは「All Pages(すべてのページ)」を選択しましょう。
GA4におけるコンバージョン設定の方法
GA4においてコンバージョンを計測するには、コンバージョンをイベントとして登録する必要があります。具体的な流れとしては、以下のとおりです。
- コンバージョンとして設定したい行動を「イベント」として登録
- コンバージョンイベントの発生
- GA4の管理画面上で「コンバージョン」をオンにする
GA4の管理画面上で設定する
GA4上でコンバージョンイベントを設定するには、画面左側のメニューから「設定」→「イベント」→「イベントを作成」と進みます。カスタムイベントの「設定」をクリックして、イベント名と発生条件を設定します。
Googleタグマネージャーで設定する
Googleタグマネージャーでコンバージョンイベントを設定するには、「タグ」→「新規」と進みます。「タグの種類」は「Googleアナリティクス:GA4イベント」を選択して、「設定タグ」と「イベント名」、「トリガー」を設定します。
GA4を学習したい場合は
前述のとおり、GA4に関する情報やコンテンツはまだそれほど多くありません。しかし、最近では本やセミナーなども増えており、学習できる環境となっています。
本
最近、GA4に関する書籍が各社から発売されています。以下では、そのなかでもおすすめの書籍について紹介します。
1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本
日本一のWeb解析士として名高い窪田望氏が執筆した書籍です。GA4に関する本格的な解説書としては国内初となっており、入門書として高く評価されています。漫画を交えて、初心者でもわかりやすく解説されています。
プロが教えるいちばん詳しいGoogleアナリティクス4
GA4の基本について、設定部分を中心にまとめた書籍です。GoogleサーチコンソールやGoogle広告をはじめ、外部ツールと連携させた分析まで解説しており、設定まわりで悩んでいる方におすすめです。
入門Googleアナリティクス4
はじめてGoogleアナリティクスを運用する方向けの書籍です。細かな部分の解説は少ないものの、初心者がはじめにおさえるべきポイントを網羅的にまとめています。ユニバーサルアナリティクスの知識を前提とした書籍が多いなか、本書であれば初心者でも読み進められるでしょう。
セミナー
最近では、各社によるセミナーの実施も増えています。無料で参加できるものも多くあるため、探してみるとよいでしょう。
動画
YouTubeでもGA4に関する動画が公開されています。セミナーに比べると、それほど多くないものの、徐々に数が増えています。
まとめ
GA4は2020年10月にリリースされた、Googleアナリティクスの最新バージョンです。まだ情報量が少なく、運用するには苦労する部分もありますが、ユニバーサルアナリティクスよりもより細かな分析が可能です。
また、今すぐGA4で分析を始める必要はありませんが、設定を済ませたあとからのデータしか取得できない点には注意すべきです。将来的にはユニバーサルアナリティクスの終了、GA4への完全移行もアナウンスされているため、まずは導入設定だけでも済ませておきましょう。