EC広告の種類と特徴を徹底解説!基本戦略から適切な広告費の割合まで紹介

目次

EC広告とは

引用:pixabay

EC広告とは、ECサイトにおける集客や販促を目的として出稿される広告全般を指します。EC広告の場合、テレビ・ラジオCMや雑誌・新聞などのマス広告が用いられるケースはあまりなく、ECサイトへの導線を設けやすく、出稿単価が低いWeb広告が一般的です。

ECサイトにおける広告の重要性

実店舗型のビジネスはもちろん、ECサイトにおいても広告は重要な役割をもっています。SNSやSEOをはじめ、さまざまな集客施策があるなかでも、短期間で効果につながりやすいため、ビジネスを軌道に乗せる手段として非常に有効です。

また、中長期的な施策とあわせて活用できると、より効果を発揮しやすくなります。まずは短期施策としての広告、その他の中長期施策を並行して進めつつ、将来的には広告に依存しない体制を目指していけるとよいでしょう。

EC広告の種類

引用:pixabay

ECサイトにおいて用いられる広告の種類は、以下の3つに大きく分けられます。

  1. 期間保証型(純広告)
  2. クリック保証型
  3. 成果保証型(成果報酬型)

期間保証型はクリックやコンバージョンにかかわらず、一定の費用が発生します。そのため、リスクが大きいとも考えられますが、多くの成果が発生した場合でも広告費がかさむことはありません。

一方、低リスクを重視するのであれば成果保証型がおすすめです。コンバージョンが発生しなければ広告費も発生しないうえ、多くの成果が発生しても成果のうち、広告費となる割合はあらかじめ決まっているため、売上以上のコストになってしまうリスクはないでしょう。

期間保証型と成果保証型の間に位置するのがクリック保証型です。クリックが発生するまでは費用も発生しませんが、コンバージョンよりも前の地点で広告費が発生するため、広告費をかけてもコンバージョンにつながらないリスクもあります。

そのほかにもインプレッション保証型をはじめ、マイナーなものを含めるとさまざまな広告がありますが、基本的には上記をおさえておけば問題ありません。

また、3つの種類のうち、どの広告を出稿すべきかは、自社ECサイトとECモールでそれぞれ異なります。自社ECサイトの場合、主にクリック保証型、成果報酬型のどちらかを使います。

一方、ECモールの場合は期間保証型も効果的です。たとえば楽天市場ではスーパーセールやマラソンセールの期間中、ユーザー向けのセール告知のなかにある広告枠を購入できます。セールやイベントの期間中、掲載が保証される仕組みとなっており、期間保証型広告の一種といえます。

自社ECの広告種類

自社ECサイトにおいて用いられる広告には、以下のようなものがあります。

  • Googleショッピング広告
  • リスティング広告
  • ディスプレイ広告(リマーケティング広告)
  • アフィリエイト広告
  • メルマガ広告
  • 記事広告
  • SNS広告

以下では、それぞれの広告の特徴について解説します。

Googleショッピング広告

Googleショッピング広告とは、Googleの検索結果画面に表示される広告です。配信面はリスティング広告と同様ですが、ショッピング広告は商品画像や価格もあわせて表示されます。検索結果画面上部のタブから「ショッピング」を選択したときにも、上部に表示される仕組みとなっています。

Googleショッピング広告を出稿するには、広告管理システム「Google Merchant Center」への登録が必須です。なお、広告にもかかわらず無料枠が設けられているため、審査に通過していれば一部は無料で広告を出稿できる点も特徴的です。

リスティング広告

リスティング広告とは、検索結果画面に表示される広告です。主要検索エンジンのなかではGoogleとYahoo!がリスティング広告のサービスを提供しており、それぞれの検索結果画面において広告を表示できます。もっともメジャーなWeb広告として知られており、費用対効果が高いことでも有名です。

リスティング広告の特徴は、特定のキーワードで検索したユーザーに対して広告を表示できる点です。顕在的なニーズをもっているユーザーにアプローチできるため、コンバージョンにつなげやすいといえるでしょう。

ディスプレイ広告(リマーケティング広告)

ディスプレイ広告とは、ポータルサイトやWebサイト内に表示される広告です。広告主があらかじめ登録しておいたバナーや画像などのクリエイティブが表示されるため、ほかの広告手法に比べて視認性に優れている点がメリットです。

一方、ターゲティングの精度がそれほど高くなく、コンバージョンにつながりにくいデメリットもあります。そのため、ブランディングや認知拡大を目的として出稿されるのが一般的です。

また、ディスプレイ広告のなかでも、リマーケティング広告はECサイトにおけるコンバージョン施策として非常に有効です。リマーケティング広告は自社ECサイト内にトラッキングタグを埋め込んでおき、過去にサイトを訪問したユーザーだけに広告を表示させられます。

アフィリエイト広告

アフィリエイト広告とは、アフィリエイターが運営するサイト内に表示される広告です。ASP(Affiliate Service Provider)と呼ばれる媒体を通して、広告主とアフィリエイターが契約締結や報酬支払いをする仕組みとなっています。

広告主が設定した成果を達成したときに広告費が発生するため、費用対効果の高さが特徴の広告です。しかし、アフィリエイターによる不正CVが発生するおそれもあるため、一つひとつの成果について精査する必要があり、リソースの負担が生じる点はデメリットです。

メルマガ広告

メルマガ広告とは、社外のメルマガ内に表示される広告です。主な連絡手段がメールだった時代にはよく利用されていましたが、現在ではLINEをはじめとするメッセンジャーアプリに代わっており、広告効果が低くなってしまっています。

企業の担当者をターゲットとするBtoB商材など、一部のケースを除いてあまり使われなくなった広告といえるでしょう。

記事広告

記事広告とは、外部のメディアサイトで商材を取り上げてもらう広告です。自社の商材に関連するキーワードで上位に表示されているサイト内で取り上げてもらえれば、見込み顧客にリーチできる可能性が高まります。

しかし、Web上の露出を増やすうえでは効果的である一方、コンバージョンにはつながりにくい点が弱みです。そのため、ブランディングや認知拡大を目的とした広告に適しています。

SNS広告

SNS広告とは、SNSのプラットフォーム内に表示される広告です。SNS広告はそれぞれのプラットフォームの特性によって、ターゲティングの仕組みやユーザー層が異なります。

以下では、主要SNSの広告について解説します。

SNS広告の種類特徴
Twitter広告フォロワーターゲティングが特徴。
指定したアカウントのフォロワーに類似するユーザーに配信できるため、自社の商材や領域に関連するインフルエンサーやアカウントがいれば効率よくリーチできます。
Facebook広告ターゲティング精度に長けたAIが特徴。
同じくMetaグループが運営するInstagram広告も同様の特徴をもっており、InstagramはアパレルECと相性のよいプラットフォームとして知られています。
LINE広告友だち追加を目的とした広告を出稿できる点が特徴。
リスト獲得にも活用できるため、情報を発信できるチャネルを求めている企業にも向いています。
YouTube広告動画で訴求できる点が特徴。
購入単価が高い商材、詳しい説明が必要な商材などは、とくに相性がよく、コンバージョンにつなげやすいといえます。一方、動画広告の制作にはコストやリソースの負担がかかるデメリットもあります。
TikTok広告若年層にリーチしやすい点が特徴。
YouTubeと同じく動画をメインコンテンツとしているものの、ユーザー層や動画の傾向には違いがあるため、各プラットフォームの特性を調査してから出稿すべきです。
Pinterest広告画像で訴求できる商材に適している点が特徴。
ただし、まだ日本国内で広告サービスを展開して間もないため、情報があまりないデメリットといえます。
各SNS広告の特徴

モール型ECの広告種類

ECモールの場合、コンバージョンまでのデータを計測できないケースが多く、自社ECサイトに比べてトラッキングが難しいため、ROASなどを計測できる広告を中心に検討するのがおすすめです。

以下では、ECモールにおすすめの広告について解説します。

セール・イベント広告

セール・イベント広告とは、ECモールのセールやイベントの時期に合わせて、ユーザー向けの告知枠に表示される広告です。ユーザーにとってお得なお知らせとあわせて表示されるため、購入意欲をかきたてやすい点がメリットです。

リスティング広告(モール内検索結果)

モール内の検索結果画面に表示されるリスティング広告もあります。検索エンジンのリスティング広告と同様、クリック課金型となっており、入札単価を決めて出稿します。

リマーケティング広告

ECモール内で販売している商品でも、リマーケティング広告を出稿できます。楽天市場はCriteo、Yahoo!ショッピングはYahoo!広告と連携しており、プラットフォームを利用すればスムーズに出稿できます。

リマーケティング広告はROASをチェックできるケースが多いうえ、コンバージョンに近いユーザーを狙えるため、ECモールにおいてもおすすめの広告手法です。

アフィリエイト広告

一部のECモールはアフィリエイト広告と連携しています。たとえば楽天市場は楽天アフィリエイトと楽天ROOM、Yahoo!ショッピングはバリューコマースです。

とくに楽天市場では各ジャンルのアフィリエイターとコラボできるメニューもあり、アフィリエイト広告を運用しやすい仕組みとなっています。

リスト広告

リスト広告とは、顧客リストを獲得するための広告です。モール内でリストを獲得したい企業に向いています。モール全体でリストを獲得できるため、自社だけでは獲得できない層もリスト化できる点が強みです。

クーポン広告

クーポン広告とは、ユーザーがクーポンを獲得するごとに課金される広告です。主に楽天市場で提供されており、AIがクーポンの割引額を自動で設定してくれる点が特徴的です。

雑誌広告

ECモールではモールと雑誌のタイアップ広告も取り扱っています。自社ECサイトに比べて比較的リーズナブルな価格で出稿できるため、ECモールを利用している場合は検討してみるとよいでしょう。

EC広告の費用

引用:pixabay

EC広告を出稿する際、まずは広告予算を決めておく必要があります。しかし、どのように予算を決めればいいかがわからない方も多いのではないでしょうか。

以下では、広告費用の相場と平均的な広告費割合、予算を決める方法について解説します。

広告手法ごとの費用相場

Web広告の費用相場は、広告の種類と課金方式によってある程度決まっています。広告の種類ごとの費用相場は以下のとおりです。

種類課金方式費用相場
リスティング広告クリック課金10~1,000円/1クリック
リマーケティング広告クリック課金10~1,000円/1クリック
純広告インプレッション課金・期間保証10~1,000円/1,000インプレッション 10万円~1,000万円/週
SNS広告クリック課金10~1,000円/1クリック
アフィリエイト広告成果保証100~10万円/1コンバージョン
広告手法ごとの費用相場

平均的な広告費の割合はどれくらい?

日本通信販売協会が2015年に調査した結果によると、ECサイトにおける売上高に対する広告宣伝費の割合は平均20.1%となっています。一般的なビジネスの広告費率は10%前後が適正値とされており、EC事業は広告費率の大きい業界です。

ECサイトの多くは広告チャネル経由で売上をあげており、広告費率が高くなるのは当然といえるでしょう。

EC広告の予算を決める方法

EC広告の予算を決める際は、広告の目的とKPIを定めてから逆算する方法があります。たとえば顧客単価が5,000円のECサイトが売上高100万円を目指す場合、200件のコンバージョンが必要です。

広告経由のコンバージョン率が20%であれば1,000クリックを獲得しなければいけません。つまり、クリック単価に1,000をかけると概算の広告費を算出できます。

EC広告による集客を成功させるコツ

引用:pixabay

前述のとおり、ECサイトにおける広告は売上を支える要素です。そのため、広告運用の基本やノウハウをおさえておくことは重要です。

以下では、EC広告による集客を成功させるコツについて解説します。

アプローチできる顧客層によって使い分ける

広告は種類によってアプローチできる客層が異なります。たとえばリスティング広告やリマーケティング広告は顕在層、ディスプレイ広告は潜在層へのアプローチに適しています。そのため、短期的にコンバージョンを増やすことを目的とする場合は前者、中長期的に認知を拡大し、リードを獲得していくことを目的とする場合は後者と使い分けることが大切です。

LP(ランディングページ)を活用する

LPとは、広告をクリックしたときにユーザーが遷移するページです。広告を出稿する場合、広告経由のユーザーに訴求するためのLPを制作するケースが一般的です。

また、多くの広告ではキャンペーンごとにLPを設定できます。つまり、キーワードやターゲティングによって異なるLPを出し分けられます。LPは広告クリック後のコンバージョン率を左右するため、定期的に変更や効果検証を繰り返しつつ、最適化を図っていくとよいでしょう。

ABテストを実施してクリエイティブを最適化する

ABテストとは、いくつかのパターンを用意して、もっとも効果が高いものを検証することです。Web広告においては、プラットフォーム自体のABテスト機能や外部の広告管理ツールを活用してABテストを実施できます。

ABテストを実施すべきポイントは、広告テキスト・バナー・LPなどです。クリエイティブを変えただけでコンバージョン率が大きく変わることもあるため、積極的に実施していくべきです。

リピーターの育成にも力を入れる

広告は新規顧客の獲得を目的として運用されるケースが多いものの、リマーケティング広告のようにリピーターを育成できる広告もあります。一般的にリピーターの獲得コストは新規顧客に比べて大幅に低いといわれており、新規顧客・リピーターの獲得施策にバランスよく取り組むことがコストを抑えるポイントです。

CRM施策で顧客のLTVを高める

広告で集客した顧客に対してCRM施策を講じることによって、顧客のLTVを高めることも非常に重要です。新規顧客を獲得しつづけるにはコストがかかるため、一度獲得した顧客を囲い込む施策が必要となります。

EC広告の運用や分析で見るべき指標・用語の意味

引用:pixabay

EC広告を運用する際はさまざまな指標を分析しつつ、効果測定と改善のPDCAサイクルを回していくことが大切です。KPIを設定するうえでも各指標の意味をおさえておく必要があるため、広告運用を担当するには必須知識といえるでしょう。

以下では、EC広告の運用においてチェックすべき指標について解説します。

CPM

CPM(Cost Per Mille)は、広告が1,000回表示されるごとに発生する費用です。広告の表示を「インプレッション」と表現することからインプレッション単価とも呼ばれます。

CPC

CPC(Cost Per Click)は、広告がクリックされるごとに発生する費用です。クリックあたりの費用を表すため、クリック単価とも呼ばれます。

CTR

CTR(Click Through Rate)は、広告の表示回数のうち、ユーザーにクリックされた割合を指します。クリック率とも呼ばれます。

CPA

CPA(Cost Per Acquisition)は、顧客一人あたりの獲得単価です。コンバージョン単価として算出するケースもありますが、一人の顧客が複数回コンバージョンする可能性があるビジネスにおいては、コンバージョン単価とCPAは異なる点に注意すべきです。

CPO

CPO(Cost Per Order)は、注文1件あたりの獲得単価です。コンバージョン単価とほぼ同義ですが、問合せ・資料請求・商談・受注のように、コンバージョン地点が複数あるビジネスにおいては最終的に受注に至った件数から算出します。

CVR

CVR(Conversion Rate)は、広告をクリックしたユーザーのうち、コンバージョンに至った割合を指します。コンバージョン率とも呼ばれます。

CPR(CRC)

CPR(Cpst Per Response)は、レスポンス1件あたりの獲得単価です。サンプルの申し込みや問合せなどの最終コンバージョン以外も含まれるため、中間コンバージョンの獲得単価を調べられます。

ROAS

ROAS(Return On Adyertising Spend)は、広告費に対する売上です。俯瞰的な視点から広告の費用対効果を測る指標として活用できます。

EC広告の運用に強い広告代理店

広告運用を外注すると、広告費に加えて運用費がかかります。また、社内にノウハウが残らず、継続的にコストがかかってしまうため、あまりおすすめできません。しかし、リソース的にインハウスで運用するのが難しい場合は、プロに運用を依頼するのも一つの手です。

以下では、EC広告の運用に強い広告代理店について紹介します。

株式会社シード

https://www.seedinc.jp/

株式会社シードは、千代田区に本社を構える企業です。リスティング広告の運用を得意としており、Google・Yahoo!の認定代理店にも選定されています。

株式会社イーナ

https://www.e-n-a.jp/

株式会社イーナは、大阪市に本社を構える企業です。自社運営のECサイトはネットショップ大賞に選ばれた実績もあり、たしかなノウハウをもっています。ディスプレイ広告の運用に長けている点が特徴です。

株式会社オプティマイザー

https://www.optimizer.co.jp/

株式会社オプティマイザーは、港区に本社を構える企業です。Web戦略全般に関するサポートを提供しており、広告運用の代行からコンサルティングまでワンストップで対応可能です。なかでもリマーケティング広告の運用を得意としています。

株式会社バリュー・パートナーズ

https://value-partners.co.jp/

株式会社バリューパートナーズは、中央区に本社を構える企業です。社内にはASP出身者も数多くおり、アフィリエイト広告の運用を得意としています。

株式会社MOLTS

https://moltsinc.co.jp/

株式会社MOLTSは、港区に本社を構える企業です。SNSを中心とするマーケティング戦略の立案から伴走までサポート可能です。広告運用の面ではSNS広告を得意としています。

株式会社ライトアップ

https://www.writeup.jp/

株式会社ライトアップは、渋谷区に本社を構える企業です。メールマガジンサービス「メールクリエイト」を提供しており、メールマガジンの制作代行やコンサルティングなどを請け負っています。

まとめ

引用:pixabay

ECサイトにユーザーを集めて販売を促進するにあたり、EC広告はなくてはならない存在です。自社ECサイトであっても、ECモールであっても、広告を一切出さずにビジネスを軌道に乗せるのは難しいでしょう。

なお、EC広告を出稿する際は、媒体ごとの特性やターゲットを理解することが大切です。広告を出稿する媒体、各媒体の予算を適切に選定して、効果測定と改善を繰り返せれば、コストを抑えて集客できる仕組みを実現できるでしょう。

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