コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、自社がターゲットとするユーザーに対してコンテンツを発信するマーケティング手法です。コンテンツの内容はブログ記事や動画、FAQなど、さまざまなものがあります。
たとえばゴルフ用品を販売している事業者であれば、ゴルフクラブのレビュー記事やゴルフクラブの選び方などのコンテンツが考えられます。直接的に購入につながらなくても、自社の扱う商品やサービスに関連するニーズをもっているユーザーを集められるため、認知の拡大や将来的な売上につながるでしょう。
コンテンツマーケティングが重要視される理由
近年、コンテンツマーケティングに取り組む事業者の数が増加しています。しかし、コンテンツマーケティングが注目されている背景には、どのような理由があるのでしょうか。
以下では、コンテンツマーケティングが重要視されている理由について解説します。
売り込み型のマーケティングが難しくなった
従来、マーケティングの中心は、テレビやラジオのCM、DMやチラシなどでした。しかし、企業から消費者に対して、一方的に商品やサービスを売り込む広告に疲弊してしまった消費者が多いのも事実です。
そこで売り込み型マーケティングに代わって注目されているのが、コンテンツマーケティングです。
Googleのアルゴリズムが変化した
Googleは、ユーザーニーズに応えるコンテンツを上位表示できるよう、つねにアルゴリズムをアップデートしています。そのなかでトレンドとなったのが、コンテンツの質を重視する考え方です。
ひと昔前までは、キーワードを詰め込んだり、被リンクを大量に獲得したりするブラックハットSEOによっても上位表示できるような状況でしたが、現在ではユーザーファーストなコンテンツでないと上位表示が難しくなっています。SEOにおけるポイントがアルゴリズムへの最適化からユーザーニーズへの対応に変化するとともに、コンテンツマーケティングへの注目が高まっています。
Web広告の費用が高騰した
Web広告が登場した当初は、Web広告の運用に参入する企業の数も少なく、費用対効果が高い手法として利用されていました。しかし、コストパフォーマンスの高さから多くの企業が参入するにつれ、入札制のWeb広告はどんどん費用が高騰しています。
そこで広告に頼らない集客戦略として、コンテンツマーケティングへの注目が集まっています。
新たな消費行動「ZMOT」が主流となった
ZMOTとは、Zero Moment Of Truthの頭文字をとったものです。具体的には、商品やサービスの購入にあたって、WebサイトやSNSで情報を収集する行動を指しており、近年における新たな消費行動のトレンドとしてあげられています。
商品やサービスの購入を検討するユーザーが検索したときに、コンテンツに接触してもらえれば自社のコンバージョンにつながりやすくなります。
コンテンツマーケティングの目的は?
コンテンツマーケティングには、大きく2つの目的があります。1つはSEOによる新規集客、もう1つはリピーター育成によるLTV向上です。
以下では、それぞれのポイントについて解説します。
SEOで新規集客を計る
SEOにおいてコンテンツマーケティングは、もっとも効果的な施策の一つです。コンテンツを充実させるほど、より多くのキーワードで上位表示を図りやすくなるほか、ドメイン自体の評価も高まります。
検索結果画面における露出の増加によって、より多くの新規顧客を獲得できるでしょう。
リピート集客・ファンを作り、LTVを伸ばす
コンテンツは、リピーターの育成にも役立ちます。ユーザーにとって有益な情報をコンテンツ化できていれば、同一ユーザーがさまざまなコンテンツに接触するため、ロイヤリティを向上させられます。
顧客ロイヤリティの向上によって、ファン化を促進できるだけでなく、LTVを伸ばせるでしょう。
コンテンツマーケティングのメリット
前述のとおり、コンテンツマーケティングはさまざまな要因から、近年とくに注目されています。しかし、コンテンツマーケティングには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
以下では、コンテンツマーケティングのメリットについて解説します。
コンテンツが資産になる
制作したコンテンツは一時的な集客だけではなく、将来にわたって企業の資産として残り続けます。また、コンテンツ量が増えれば、内部リンクによってユーザーの回遊を促せるため、コンバージョンまでの導線を整備するうえでも役立つでしょう。
中長期的な費用対効果が高い
コンテンツは、広告に代わってブランディングや集客の役割を担います。広告費用を抑えられるため、中長期的な費用対効果の面でも優れた集客施策です。
広告に依存しない集客体制を整備できるのは、コンテンツマーケティングならではの強みです。
SNSとの相性がよい
Web上で情報を発信するコンテンツマーケティングは、SNSとの相性がよい点が特徴です。最近ではマルチチャネルのトレンド化とともに、企業によるSNS運用も増えています。
そのため、SNS運用とあわせてコンテンツマーケティングに取り組めれば、より集客力を高められるでしょう。
顧客のロイヤリティを向上させられる
ユーザーのニーズを満たせるコンテンツを日々投稿することによって、顧客のロイヤリティ向上にもつながります。コンテンツを通して、企業と顧客が接触する機会が増えるため、ファン化を進める施策としても効果的です。
SEOに強いサイトをつくれる
前述のとおり、コンテンツマーケティングはSEO施策の一環として実施されます。特定キーワードにおける検索順位の向上はもちろん、サイト全体のドメインパワー強化も見込めます。
事業者ドメインだと優位に施策が進められる
近年、Googleのアルゴリズムの特徴として、事業者ドメインが上位表示されやすい点があげられます。そのため、情報系メディアサイトが競合にいたとしても、実際に事業を手がけている事業者ドメインであれば、後発サイトにも十分な勝ち目があります。
コンテンツマーケティングのデメリット
コンテンツマーケティングには多くのメリットがありますが、デメリットもあることを忘れてはいけません。実際に取り組むうえではデメリットがボトルネックとなり、継続できないケースもあるため、事前に把握しておきましょう。
以下では、コンテンツマーケティングのデメリットについて解説します。
継続的な発信が必須
コンテンツマーケティングにおいては、継続的に有益な情報を発信しなければいけません。Googleのアルゴリズムでは、情報の質を判断する要素として、情報の最新性を重視しています。
そのため、一度検索上位を獲得できたとしても、コンテンツを置いておくだけではいずれ競合サイトに順位を抜かされてしまうでしょう。
コストの回収にかかる期間が長い
コンテンツマーケティングは、すぐに成果をあげられる施策ではありません。狙ったキーワードで上位表示を実現できるまでには時間がかかるうえ、検索エンジン経由で獲得したユーザーをコンバージョンにつなげるには、さらに一定の時間がかかります。
あくまで中長期的に集客や販促をするための施策として認識しつつ、短期的な施策とあわせて取り組むのがおすすめです。
コンテンツの種類と特徴
コンテンツマーケティングは、その名のとおり、発信するコンテンツがなければ成立しないマーケティング手法です。
以下では、コンテンツマーケティングに利用できるコンテンツの種類について解説します。
記事コンテンツ
記事コンテンツは、SEOにおいてもっとも効果的です。コラムやまとめ記事、事例やインタビューなどを記事化して発信できれば、検索順位の向上につながるでしょう。
LP
LPとは、商品やサービスの紹介を目的としたコンテンツです。コンバージョンページへのブリッジページとして活用できるのはもちろん、広告をクリックしたユーザーに表示させるランディングページにも流用できます。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、独自の調査結果や導入事例などをまとめたコンテンツです。メールアドレスを入力するとダウンロードできる仕組みにして、リスト作成に活用する手法があります。
自社サイトを訪れたユーザーのなかから、興味をもっている層をスクリーニングする施策としても有効です。
動画
動画は、視覚的な訴求に強みをもったコンテンツです。テキストでは情報量が多くなってしまう内容も整理しやすく、商品レビューなどに適しています。動画コンテンツを発信するプラットフォームとして、YouTubeチャンネルを開設してもよいでしょう。
インフォグラフィック
インフォグラフィックは、データや情報を図やグラフなどに落とし込み、可視化したコンテンツです。静止画ではあるものの、テキストに比べて視認性に優れており、ユーザーにわかりやすく説明できます。
メルマガ
メルマガは、すでに自社の商品やサービスに興味を示しているユーザーに対して、アプローチできるコンテンツです。ホワイトペーパーやインフォグラフィックなどをもとに、獲得したリードを育成する際に活用するのがおすすめです。
コンテンツマーケティングの流れ
コンテンツを制作するには、キーワード選定やペルソナ設計などの段階を踏む必要があります。いずれもコンテンツマーケティングにおいて重要なフェーズであり、実施にあたって流れを理解しておくことが大切です。
以下では、コンテンツマーケティングの流れについて紹介します。
KGIとKPIを設定する
コンテンツマーケティングのように、成果が出るまでに時間がかかる施策においては、あらかじめKGIとKPIを設定しておくことが大切です。なお、KPIをたてる際は、事業フェーズに応じた指標をKPIとするのがおすすめです。
はじめのうちは、PV数やCV数などのインパクトの大きな数値をKPIとします。獲得キーワードと流入数を調査したうえで、リスティング広告を出稿した場合のCPCとクリック数をかけあわせて、広告費に換算した数値を指標としてもよいでしょう。
その後は、一定数のPV数を記録できるようになったら、リピートユーザー数や滞在時間などの指標をチェックします。さらに、安定してリピートユーザーを獲得できるようになったあとは、CV数や利益などの指標を重視すべきです。
ペルソナを設定する
コンテンツを制作する前には、ペルソナを設定します。ペルソナとは、コンテンツのターゲットとするユーザー像です。ペルソナは、年齢や性別のほか、職業や生活スタイル、興味関心などの属性をもとに設定します。
なお、ペルソナ設定にあたって注意すべき点として、ペルソナは一人だけに決める必要はありません。とくに年齢や性別に幅がある場合は、複数人のペルソナをたてましょう。
また、ペルソナは随時アップデートするのが望ましいといえます。随時アップデートしつつ、軌道修正のためのリライトをしていくのがおすすめです。
コンテンツを制作する
コンテンツを制作する際のフローは、以下のとおりです。
- キーワード選定
- アウトライン作成
- 本文のライティング
- 入稿・コーディング
はじめに上位表示を狙うキーワードを選定します。自社の商材をもとに、どんなジャンルのキーワードから流入を獲得すべきかを検討するのがポイントです。
キーワードの選定後は、サジェストや再検索キーワードからユーザーニーズを特定して、アウトラインを作成します。ユーザーにとって、どんなタイトル・見出しが魅力的かを考えられるとよいでしょう。
アウトラインが完成したあとは、アウトラインの内容に沿ってライティングした文章を入稿します。コーディングにおいても、SEO的なベストプラクティスがあるため、SEOの知見があるコーダーがいると有利に進められます。
効果測定・施策の評価をする
効果測定の際には、利益やコンバージョン数を主な指標にします。ただし、単純に販売数や売上だけを見るのではなく、複数チャネルを合計した数値で判断するのがおすすめです。
コンテンツを発信する場は、オウンドメディアだけではなく、LINEやアプリ、その他のSNSなどがあります。コンテンツはさまざまなチャネルに横展開して利用できるため、それぞれのチャネルの成果を測定できるとよいでしょう。
コンテンツマーケティングを学ぶのにおすすめの本
コンテンツマーケティングにおいては、ただコンテンツを制作するだけではなく、ユーザーニーズの分析やコンバージョンまでの導線を意識しなければいけません。
いずれもはじめて取り組む方にとってはなかなか難しい部分であるため、事前に基本をおさえておくのは必須です。
以下では、コンテンツマーケティングを学ぶのにおすすめの本について紹介します。
BtoB企業のためのマーケティングコンテンツ制作ガイド
BtoBビジネスにおけるコンテンツマーケティングを中心に、基本のノウハウを網羅している書籍です。具体的なアクションとともに解説されており、マーケティングの実務経験がなくても、悩むことなく取り組めるはずです。
Webコンテンツマーケティング サイトを成功に導く現場の教科書
PVの増加だけでなく、コンバージョンまでを見据えたコンテンツマーケティングをまとめた書籍です。コンテンツマーケティングの始め方から成功事例まで紹介しています。
また、Excelで作成されたチェックシートもダウンロードでき、実務にも役立つ一冊となっています。
できるところからスタートする コンテンツマーケティングの手法88
コンテンツマーケティングをはじめ、Web制作や広告運用などの観点からもノウハウをまとめた書籍です。SEOライティングの点でも深く解説しており、実際にコンテンツ制作に関わる方にもおすすめです。
コンテンツマーケティングの成功事例
コンテンツマーケティングにはさまざまなアプローチがあり、商材やサービスによって適した施策を検討することが大切です。そのため、他社の成功事例をもとに、自社の施策を検討する方法も効果的です。
以下では、コンテンツマーケティングの成功事例について紹介します。
土屋鞄製作所
革製品の品質に定評がある土屋鞄製作所は、SNSにおけるコンテンツマーケティングを得意としています。FacebookとInstagramをメインに利用しており、商品の訴求ばかりではなく、SNS上で人気になるような投稿が多い点が特徴的です。
SATORI
マーケティングオートメーションで有名なSATORIは、オウンドメディアで記事コンテンツを公開しています。マーケティング戦略や施策についてのコンテンツが中心となっており、関連キーワードで上位表示を実現しています。
サントリー
飲料メーカーのサントリーは、動画を活用して、ブランディングを含めたコンテンツマーケティングを実施しています。企業運営のコンセプトでもある「水と生きる」をテーマにした動画を公開しており、サステナビリティへの意識を示しています。
Pierrot
Pierrotは、アパレルECサイト内でのコンテンツマーケティングに取り組んでいます。ファッションに関するユーザーの悩みを分析して、疑問や不安を解消するコンテンツの投稿によって、開始1年半で月間160万PVまで成長させています。
まとめ
コンテンツマーケティングは、売り込み型のマーケティングとは一線を画す集客施策です。中長期的に効果を発揮する施策であるほか、ファン化を促進できる点なども独自の特徴です。
一方、コンテンツ制作やアプローチの面では、意識すべきポイントが多く、実行が難しいマーケティング施策でもあります。本や他社事例などをもとに、体系的な知識やノウハウを獲得してから取り組めるとよいでしょう。